3.一反もめんとは...
思い出しては、どこかに書くことは書くのだけれども。
どっかに書いたのだけれども...
となったり、
何だっけかかな?
書いたかどうかも思い出せない話もたくさんあります。
多分、覚えていないだけで...半世紀近く生きてきた私も、それなりに経験している「怪異」はいくつもありますが。
日常の忙しさに忘れていることがほとんどで、フッとした瞬間に思い出す。
あれはまだ私が中学生ぐらいだったと思うのだけど、夏に洗濯物をベランダに干していた。
昼過ぎになって、そろそろ乾いているのでは?
と思って朝早くに干した洗濯物を取り込んで、最後の何かを取り込もうとベランダに出た時、
下からものすごい勢いで、ぶわぁーって上がってきた真っ白の何かが鼻先数センチまえを昇って...上のフロアのベランダに昇っていった。
うわぁー、真っ白のシーツ?
慌ててベランダの手すりから上を見上げると、上のフロアの人は手すりに何も干していなかった。
白く大きな畳ぐらいの大きさの白い布なんて、無論、無い。
それから三十年とちょっと近くなろうとしている最近、それを千年以上続くお寺の僧侶や神社の神主に話すと。
「それは一反もめんですわぁ」
と笑う。
彼らが言うには、昭和の頃は山でよく見かけた妖怪らしい。
ちなみに私に体験だっは平成初頭だ。
すごい勢いで飛んでいて、何も悪さもしなければ、何かを伝える事なく消えた白い布。
そうかあれが一反もめんなのか。
と妙に合点がいく今夜であります。