3.一反もめんとは...
思い出しては、どこかに書くことは書くのだけれども。
どっかに書いたのだけれども...
となったり、
何だっけかかな?
書いたかどうかも思い出せない話もたくさんあります。
多分、覚えていないだけで...半世紀近く生きてきた私も、それなりに経験している「怪異」はいくつもありますが。
日常の忙しさに忘れていることがほとんどで、フッとした瞬間に思い出す。
あれはまだ私が中学生ぐらいだったと思うのだけど、夏に洗濯物をベランダに干していた。
昼過ぎになって、そろそろ乾いているのでは?
と思って朝早くに干した洗濯物を取り込んで、最後の何かを取り込もうとベランダに出た時、
下からものすごい勢いで、ぶわぁーって上がってきた真っ白の何かが鼻先数センチまえを昇って...上のフロアのベランダに昇っていった。
うわぁー、真っ白のシーツ?
慌ててベランダの手すりから上を見上げると、上のフロアの人は手すりに何も干していなかった。
白く大きな畳ぐらいの大きさの白い布なんて、無論、無い。
それから三十年とちょっと近くなろうとしている最近、それを千年以上続くお寺の僧侶や神社の神主に話すと。
「それは一反もめんですわぁ」
と笑う。
彼らが言うには、昭和の頃は山でよく見かけた妖怪らしい。
ちなみに私に体験だっは平成初頭だ。
すごい勢いで飛んでいて、何も悪さもしなければ、何かを伝える事なく消えた白い布。
そうかあれが一反もめんなのか。
と妙に合点がいく今夜であります。
2.猩猩と祈祷
普段はほとんど更新しないブログを更新しようと思う。
私の友人であり、師匠でもある人の話。
師匠は神職者でもあり、僧侶・山伏でもある。
普段は会社経営をしているが、一度そこを離れると怪異の世界の人となる。
時々私に厳しくも優しい師匠にもなってくれる。
そんな師匠が話した記録。
まずは平成の頃の出来事。
ある旧家へ仕事で行き、無事にそれは終わったそうだ。
帰ろうとしていた時に、そこの女主人に呼び止められる。
日本の田舎の家の造りは母屋と離れがあり、だいたいお風呂やトイレは別に建てられている。無論、仕事でうかがった家もそんな感じの造りだったそうだ。
「この離れにあるお風呂はもう使っていないけど、ずっと気持ち悪いというか怖くて近寄れない」
と師匠に話す。
「それでは、一度行ってみますか」
と話はなり、その時同行していた風水師の方とくだんのお風呂だった離れに向かう。
庭を横切るようにある廊下を歩く。
怖がる女主人は最後尾。
その離れの風呂場の扉前に到着。
師匠は先頭だったのか、おもろにガラッと扉を開ける。
「何がいてたと思う?」
嬉々として、いつも私にそうやって尋ねるのだが、予想もできないものがだいたい出てくるので、「何ですか?」と私は尋ねる。
いつもこのパターン。
「大きい手長猿みたいなのが2匹いてて、1匹は捕まえたけど。もう1匹は取り逃した」
という。
「それは猩猩(しょうじょう)ですね」
と私は話を聞いていて、そう伝える。
師匠と話していると最近は、頭の中にその対象物がぼんやり見える時があるのも不思議な話だが、私がそう答える。
長い歴史の中で猩猩はオラウータンとされるのだが、今でも半分神がかったことをする大きな猿であるという伝説や記録がある。
しかも日本においては、猩猩祭りなるものも愛知県名古屋市にはあるようだ。
猩猩は本当にいるのかもしれないな。
と心躍る話で、やや興奮気味な私は今夜はなかなか眠れそうにない。